第166回 緑園国際交流 トークサロン ペルー編
「地球の反対側ですが、心は近い国」,、「私の母国のペルーはこんな国」
スピーカーはペルーの首都リマ生まれの日系4世、タナカ アンドレア ナミエさん
 
 
 上:国旗、 下:国章  
   
   今日のスピーカー:ナミヱさん

 第166回緑園国際交流トークサロン
では「私の母国のペルーは、こんな国」をテーマに、ペルー・リマ出身の日系4であるタナカ アンドレア ナミエさんにご登壇いただきました。
 来日前に現地で就業された経験を持ち、現在は横浜国立大学大学院でペルーの教育課題について研究されているタナカさん。ペルーにルーツを持つ視点と、日本での研究生活から見える客観的な視点の両方から、知られざるペルーの素顔をたっぷりと語っていただきました。


 スピーカーはこの4月から会社勤めですが、就職先の都合でこの時期本社におる必要があった為、会場でのpresentationは叶わず、Zoomでの開催となった。オンライン開催はトークサロンでは初めての試みでした。
 
 

3つの多様な顔を持つ国
 ペルー

 南米大陸の太平洋側に位置するペルーは、日本の約3.4倍の面積を持ちます。日本とは季節が逆になります。ペルーの大きな特徴は、赤道に近い一方でアンデス山脈の影響を受け、大きく3つの多様な地形と気候帯に分けられることです。

 1つ目は「コスタ(沿岸部)で、首都リマがあり政治・経済の中心地となっている乾燥した砂漠地帯です。
2つ目は「シエラ(山岳地帯)}アンデス山脈が広がる高地で、昼夜の寒暖差が激しくインカ帝国の中心地だった歴史ある地域です。
3つ目は「セルバ(熱帯雨林地帯で、国土の約60%を占める広大なアマゾン川流域です。この多様な風土が、ペルーならではの豊かな自然と文化を育んでいます。

   
 首都:リマ(コスタ地域にある)  
   
インカ文明   
   
緑園クラブハウスでZoomオンライン参加する人たち   


■ 豊かな歴史遺産と生物多様性
 ペルーの歴史を語る上で欠かせないのがインカ文明です。「天空の都市」と呼ばれるマチュピチュや古都クスコ、精巧な石組みの要塞サクサイワマンなど、高度な建築技術を示す遺跡群が紹介されました。さらに、コスタの砂漠に描かれた謎多きナスカの地上絵や、標高約3,810mにある世界最高所のチチカカ湖など、圧倒的なスケールの名所が多数存在します。リマ市内にある天野博物館など、プレ・インカ文明の貴重な品々を鑑賞できるスポットもおすすめとして挙げられました。

 また、多様な気候は世界有数の生物多様性をもたらしています。世界中で食べられているジャガイモはペルー原産であり数千種類が存在することや、高品質なカカオ、コーヒーの産地であることも紹介されました。アマゾンカワイルカやリャマ、ジャガーなど、ユニークな動物たちの宝庫でもあります。

■ 多民族が育む独自の文化と
   「美食の街」

 現在のペルーは、国民の約60%を占めるメスティーソ(混血)を中心に、先住民(ケチュア族、アイマラ族など)、白人系、アフリカ系、そして日系を含むアジア系など、多様なルーツを持つ人々が共存する多民族国家です。公用語のスペイン語に加え、ケチュア語やアイマラ語といった先住民言語も使われています。

 その文化の多様性が最も顕著に表れているのが食です。コスタの魚介マリネ「セビーチェ」、シエラの伝統的な石蒸し焼きパチャマンカ」セルバの葉包み料理「フアネスなど地域色豊かです。さらに、リマは「南米の美食の首都」として知られ、日本の食文化と融合した「ニッケイ料理」を提供する世界的名店も集まっています。

 また、カホンやケーナといった伝統楽器が奏でる音楽や、優雅な「マリネラ」、軽快な「ウアイノ」などのダンス、国を挙げて祝う独立記念日やインティ・ライミ(太陽の祭り)といった熱気あふれる祝祭の様子も語られました。

■ 日本との深い絆と、これからの課題
 日本とペルーの関わりは深く、1899年の最初の移民到着から現在まで約10万人の日系人社会が形成されています。初期の移民たちは農業から都市部へ進出し生活基盤を築きましたが、第二次世界大戦中の排日運動や強制収容など苦難の歴史もありました。それを乗り越え、勤勉さで信頼を勝ち取ってきた日系人の歩みと、タナカさん自身の「両国の架け橋になりたい」という思いが力強く語られました。
   
   
   
 
 講演の終盤では、タナカさんが現在研究されている「ペルーの教育制度と課題」について解説がありました。ペルーでは11年間の義務教育が行われていますが、都市部と地方でのインフラ設備やICT機器の普及率、教員確保の面で大きな格差があり、それが経済的格差の固定化につながっているという構造的な課題について、分かりやすく図解していただきました。
 

 地球の反対側ですが、心は近い国。スライドの締めくくりの言葉通り、ペルーの多様な魅力と日本との深い絆、そして未来に向けた課題を多角的に学ぶことができる大変素晴らしいトークサロンとなりました。

質問コーナー
Q: 参加者: 国旗に描かれている「キナの木」は、マラリアの薬(キニーネ)になる木だというですが、ご存知でした?
A:: タナカ アンドレア ナミエさん(以下、ナミエさん) :はい、マラリアの薬の成分が含れている木だと認識しています。

Q: 参加者: インカ文明では文字の代わりに「キープ(結縄)」を使って記録していたそうですが、ペルーの小学では、どうように教わるのです
       か?感動しましたか?

A: ナミエさん: 小学校の授業で実際に簡単なキープを作る体験をしました。当時は、感動するというよりも「難しいな」と感じました。

Q: 参加者 ペルーでは、日本語はどのような場所で勉強するのですか?
A: ナミエさん 日系人向けの学校や、国立大学の言語教育センターなどで学べます。最近は日本語や韓国語が非常に人気で、学んでいる
       人がたくさんいます。


Q: 参加者 2017年に初めて日本へ留学した際、日本語を学んでどのような感動がありましたか?
A: ナミエさん ペルーの教室はペルー人ばかりですが、日本では様々な国の人が集まって日本語を学んでいる環境がとても面白かったです       。また、教室の外に出ればすぐに日本語や日本文化に触れられる環境が、私にとって一番良い経験になりました。

Q: 参加者 神奈川と東京で、おすすめのペルー料理レストランを教えてください。
A: ナミエさん 神奈川県では、大和駅近くの「Gochi Dining Cafe」(セビーチェやロモ・サルタードがおすすめ)と、川崎の「エル・カルボン」          (ローストチキンがおすすめ)が好きです。東京では、表参道にある「アルド」というお店がとても美味しくて有名です。

Q: 参加者 日本のレストランのセビーチェは、ペルーのレモンと違うため現地の味とは違うのではないですか?
A: ナミエさん 日本のペルー人にとってもレモンの違いは悩みですが、お店によってはペルーからレモンを仕入れています。
       私がおすすめした大和のお店や表参道の「アルド」のセビーチェは、現地の味に近くて個人的にはとても美味しいと感じました。


Q: 参加者 ペルーで医薬品産業があまり発達していないのはなぜですか?
A: ナミエさん 申し訳ありませんが、その分野についてはあまり詳しくありません。

Q: 参加者 過去に反政府ゲリラの事件があったと記憶していますが、現在の治安状況はいかがですか?
A: ナミエさん (おそらく生まれる前の出来事のため)その事件については存じ上げておりません。

Q: 参加者 日本では癌になる人が多いですが、ペルーの病気の傾向はいかがですか?
A: ナミエさん ペルーでも日本と同じように、癌などの病気はたくさんあります。

Q: 参加者 ペルーで人気のある日本のアニメは何ですか?
A: ナミエさん 最近では『鬼滅の刃』が映画館でも上映され大人気です。私が大学生の頃は『進撃の巨人』が流行していました。              他にも『君の名は』やジブリ作品はずっと人気があります。

Q: 参加者 ペルー人が良い印象を持っている国はどこですか?
A: ナミエさん 日本に対して「誠実な人が多い」という非常に良いイメージを持っています。例えば、落とし物が手元に戻ってくることなどに
       驚かれます。また、音楽の影響で韓国も人気ですが、日常的に交流する機会が多いのは日系人や日本人の方々です。

     
 シエラ(山岳地帯)
アンデス山脈に広がる標高の高い地域
 セルバ(熱帯雨林地帯)
高温多湿で雨が多い。動植物の宝庫
 生物多様性:約25,000種以上の植物、
 ジャガー、リャマや1,800種以上の鳥
     
 ペルーの社会問題 ①若者人口の多さと雇用、②都市と地方の格差、
③子どもの貧困と教育問題
  主要な国民的祝祭




建国記念日July28 1921